第11回スポーツセーフティシンポジウムに参加しました。
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こんにちは。ゆうこりんです。
先日、四ツ谷で開催された第11回スポーツセーフティシンポジウムに参加してきました。
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NPO法人スポーツセーフティージャパンは、少年団などの草の根スポーツからプロレベルまで全ての現場における安全な環境を実現するために活動しています。
(公式サイトより引用:https://e.sports-safety.com/)
こちらのシンポジウムはNPO法人スポーツセーフティージャパンが主催されており、何度も現地参加させていただいています。例年11月末ごろにあるので、今年もこの時期が来たんだな〜という感じがしますね。
第11回目となる今回は、いわゆる「メディカル」や「スポーツ」以外の各分野の専門家の方々にご登壇いただいたとのことでした。
各セッションの学びと感想
「B.LEAGUEの安全体制構築」 数野真吾氏
今年もシンポジウムに参加しようと思った一番の理由は、こちらのセッションに興味があったからです。
私は現在、株式会社ユーフォリアのR&Dセンターと一緒にお仕事をさせていただいており、同部署からの発信や一部の広報物のクリエイティブ制作などをお手伝いしています。
株式会社ユーフォリアのリサーチャー山中さんがB.LEAGUEの「SCS推進チーム」にて外傷・障害調査集計を担当されていることもあり、個人的にとても注目しているこちらの取り組みについて、今回詳しくお話を聞けることをとても楽しみにしていました。
私も何度か千葉ジェッツの試合を観に行ったことがありますが、ここ数年のB.LEAGUEの盛り上がりは目を見張るものがあり、日本人選手がNBAで活躍したりとバスケはとても人気が高まっていますよね。強化や興行収入UPのほかに、安全体制構築のための予算をどのように確保しているのだろうというのも気になるところでした。
- 新型コロナウイルス感染対策チームとして発足したのち、コロナ禍が落ち着いたあとにレガシーとして安全体制構築のチーム(SCS推進チーム)が作られた。
- もともとB.LEAGUEチェアマンの島田さんが安全への理解・意識が高い人だったこともあり、今のような体制を作りやすい文化だった。
- 近年は海外のレベルに合わせて国内リーグでもフィジカルコンタクトが増えている。
- 各クラブも、「リーグが良くなることで、自分たちも良くなる」ことを理解している。
日本にはプロスポーツのリーグが多数ありますが、競技によってリーグの運営の仕方はさまざまで、ここまで興行収入と安全への取り組みを両輪で取り組まれているスポーツはほかにないのではないかという印象です。
プロのリーグが率先して「あるべき姿」を示すことで、試合を見にきたり選手に憧れてプロを目指す世代にとっての良いお手本となり、カルチャーの構築につながっていくのではないかと思いました。
![ゆうこりん](https://doing-good-works.com/wp-content/uploads/2024/07/SNSアイコン用小.png)
私もまたB.LEAGUEの試合を観に行きたくなりました。
特に南船橋のららアリーナ、長崎のスタジアムシティ、沖縄アリーナはぜひ行ってみたい。
「身近な人を亡くしたときの心理ー悲嘆と惨事ストレスの観点からー」 松井豊氏
こちらは筑波大学の人間系の名誉教授である松井先生から、身近な人を失った後に起こる心理(悲嘆)や、事故現場などを目撃後に生じる心理(惨事ストレス)などについて知り、それらの心的ストレスからどのように立ち直っていくかというお話でした。
冒頭に先生からも補足がありましたが、災害時などの悲惨で具体的なエピソードをたくさんご紹介していただき(この日は特別そういう話を聞きにきたという心構えでなかったのもあり)、話を聞いているとだんだん辛くなってきて途中ちょっとぼーっとしてしまいました・・・。
予期せぬ事故や喪失体験、外傷的体験に慣れている人なんてやっぱりいないと思うし、どんな年齢や性格の人にとっても辛くて、苦しいものだと思います。
- 「症状を知っている」ことで自分を客観視できるきっかけになり、少し楽になる。
- 信頼できる人と話すことができると良い。
- 感情を動かすような刺激(動画を見るなど)で泣いてみると良い。
- 外傷性ストレスのあと、成長することが多い(Post Traumatic Growth)。
- 周囲の人が、苦しんでいる人に対し希望を持つ。
- 傾聴する力をつけ、信頼される人になる。
- 「サポートする人」のケアをするシステムも必要。
私も新卒の頃は文字通り「命を預かる」病棟勤務だったので、特に人手の少ない夜勤帯で急変が起こった時などのストレスはそれまでの人生で感じたどんなものとも異なるしんどさだったことを思い出し、なんだか心がギュッとなりました。
今は外来ですが医療機関でも働いており、スポーツ現場などで救護を担当することもあるため、仕事に関してもプライベートなことに関しても、誰にでも起こりうる悲嘆や惨事ストレスの心理と、そこからの回復に役立つことを知れたのは良い学びでした。
また、海外では日本よりもっと「カウンセリングを受けること」が一般的であるように思うので、そういったサービスやサポートについても知っていきたいなと思いました。
「野外活動のための落雷知識」 松本敏男氏
最後のセッションは、PDCEという避雷設備を作っている会社の社長さんの講義でした。
PDCEは、全国の鉄道会社や学校施設、大仏の頭にも設置されているそうです。
特に印象的だった内容は、
- 屋外での活動中に雷鳴が聞こえたときの中止・避難の目安として「30-30ルール」というのを習ったが、現在はアプリで雷雲の位置や、どのくらいの速さで移動しているかなどをかなり正確に知ることができるため、それを利用する方が良い。
- 落雷による活動中止や避難の判断のために、イベントの責任者(決定者)が必ずその場にいることが大切。
- 避雷設備をつけていても、100%雷が落ちないという保証はない。雷のときは建物の中に避難するのが一番安全(※木のそばは絶対ダメ!)。
- どうしても周囲に逃げる場所がないときは、「カミナリ座り」をして雷雲が移動するのを待つ。雷雲が何時間も同じ場所にとどまることはない。
などでした。
アスレティックトレーニング学生だったときに私も「30-30ルール」を習いましたが、今はスマホからレーダーで観測された雷雲の動きをリアルタイムで確認できるので、それを見て活動の中断や避難の判断をすればいい、というお話はちょっと目からウロコでした。
![ゆうこりん](https://doing-good-works.com/wp-content/uploads/2024/07/SNSアイコン用小.png)
確かに。その通りですね。
10年前に「これがベスト」とされていた方法も、当たり前ですが時代とともにアップデートされていくんですね。メディカルに関することもそうだし、社会やデザイン/クリエイティブに関することもそうなんだと思います。
これまでの慣習や考えにいい意味でとらわれすぎず、常に心をオープンにして何事にも幅広くアンテナを張っていきたいです。
まとめ
今回も「スポーツの安全」を切り口に、普段なかなか自発的にはキャッチしにいかないようなお話も聞けて、とても充実したシンポジウムでした。
やはりコロナ禍を経てからは人が集まるイベントに行く機会もぐっと少なくなったので、友人やいつもお世話になってる方、ATC仲間の皆さんに久しぶりに会えて近況報告などができたのもとても嬉しかったです。
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また次の機会があれば、ぜひ参加できたらいいなと思います。